イグナツィ・ヤン・パデレフスキ(Ignacy Jan Paderewski/1860.11.6-1941.6.29)は、ポーランドのピアニスト、作曲家、政治家。
国際的ピアニストとして世界各地を演奏旅行した。
指の故障とスランプをきっかけに政治家へ転身し、1919年にはポーランド共和国の首相となった。
内閣退陣後は、センセーショナルな復活リサイタルにより演奏活動を再開。
「パデレフスキ版」と呼ばれるショパン全集を編纂したことでも知られている。
パデレフスキは、自身を“ピアニスト”ではなく、“芸術家/artist”と名乗り、自分の演奏を余興のように聴かれることを嫌った。
当時はまだ、演奏中にホール内でおしゃべりをするような習慣の残る国や地域があったが、
パデレフスキは私語があれば演奏を中断し、「おしゃべりが済むまで待っています」と客席に呼びかけることもあった。
聴衆が演奏に集中するようになった今のコンサートのスタイルは、自分が作り出したものだ、とパデレフスキは自伝の中で回想している。
世界的な名声を誇ったパデレフスキは、14ヵ月の間にアメリカとカナダで100回以上のコンサートを行うなど、精力的な演奏活動を行った。
1回の演奏旅行で、当時のアメリカ大統領の年棒の3~5倍にもあたるギャラが用意されたという。
パデレフスキは、これらの利益の一部を慈善事業に寄付し、財団や各種コンクールの設立にも投資した。
しかし、多忙な演奏活動と疲労が重なり、パデレフスキは指を故障、スランプへと陥ってしまう。
そこで次に精力を傾けたのが1910年の「グルンワルトの戦い」500周年に向けた記念碑の建立だった。
記念碑除幕式の日は、パデレフスキが政治家としてのスタートを切った日ともなった。
ポーランド中から集まった人々を前に、彼は演説を行った。その熱弁に聴衆は熱狂し、感動して泣く者もいたという。
そして、演奏活動で築いた人脈を活かし、パデレフスキは政治活動へ没頭していく。
パデレフスキは、「1日練習を休むと自分でわかる。2日休むと評論家にわかる。
3日休むと聴衆にわかってしまう。」という格言を残したことでも知られるが、
政治活動に専念している間の5年間、まったくピアノに触れることもなく、弾きたいという気持ちも起きなかったという。
しかし、経済上の理由で演奏活動を再開することになった時、これまで以上にピアノに愛着を感じ、さらに演奏がうまくなったと回顧している。
そして1922年11月、カーネギーホールにおけるコンサートで、みごとな復活を遂げた。
晩年、パデレフスキはショパン全集の編纂に携わった。
ポーランドのショパン研究所の職員が約2年間、演奏活動の合間を縫ってパデレフスキのスイスの別荘まで赴き、作業を行った。
こうして完成した「パデレフスキ版」は、現在も多くのピアノ教育者、ピアニストに愛用されている。
2016年4月に、ポーランド・ビドゴシチ市にある「パデレフスキ協会」ヘンリック・マルテンカ理事長より依頼を受け、
ピアニストの故 中村紘子が中心となって、「日本パデレフスキ協会」が発足しました。
イグナツィ・ヤン・パデレフスキは、19世紀から20世紀にかけてのピアノ界最大のスーパースターにして作曲家、ポーランドを独立に導いたパトリオットであり、
第一次世界大戦終結後、ポーランド共和国の首相兼外相となった空前絶後の人物です。
今日のショパン国際ピアノコンクールも、パデレフスキの強力な政治力とパトリオット精神がなかったら、存在しえなかったと言えるでしょう。
その偉大なパデレフスキを讃えて、ポーランドのパデレフスキ協会は1923年に発足。
彼の功績を記念した「パデレフスキ国際ピアノコンクール」が3年に1度、ビドゴシチ市で行われています。
2016年の第10回同コンクールでは、韓国の新鋭、イ・ヒョクさん(16歳)が優勝を飾りました。
2019年に日本ポーランド国交100周年という節目を迎えましたが、
パデレフスキという桁外れの存在を通して、両国の文化と友好関係がさらに深まればと期待しています。
さらに、この協会を日本とポーランドの単なる文化芸術の交流の場、としてだけではなく、政治と音楽を通じた交流サロンとしての役割を目指します。
東京大学法学部を卒業後、通商産業省に入省、1986年に退官。1990 年の衆議院選挙に島根県から立候補し、初当選。1996年の第41回衆議院議員総選挙以降、通算11期連続当選を果たしている。2002年の第1次小泉改造内閣で、内閣府特命担当大臣(科学技術政策・沖 縄北方対策担当)として初入閣。2004年には内閣官房長官に就任。以後、自民党国会対策 委員長、幹事長、総務会長、清和政策研究会会長等を歴任。現在衆議院議長。
ピアノを趣味としており、ピアニストの故 中村紘子からは「感受性が強く、音楽的な演奏でびっくりするほどロマンティック」と評されている。
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第12回ショパン国際ピアノコンクールにおいて歴代の日本人として最年少入賞を果たし、文化庁芸術選奨文部大臣新人賞など数多くの賞を受賞。
ライフワークとする「入魂のショパン」はギネス世界記録に認定され、2019年には3日間でショパンの全作品を演奏し満場の喝さいをあびた。ショパン作品に対する顕著な活動に、ポーランド政府より「ショパン・パスポート」が授与される。また、2020年にはベートーヴェン・ピアノ・ソナタ全32曲連続演奏の偉業を成し遂げるなど、継続的に開催される意欲的な企画は常に注目をあびる。
2021年デビュー30周年記念を迎え、ライブCD(ソニーミュージック)をリリース。近年ではインターネット配信で新しい音楽の楽しみ方を発信する「横山幸雄マイハートピアノライヴ」を新展開。
エリザベト音楽大学、名古屋芸術大学、京都市立芸術大学、山梨大学の各客員教授。日本パデレフスキ協会会長。
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早くから天才少女として名高く、第28回音楽コンクールで第一位特賞を史上最年少で受賞、N響初の世界一周公演のソリストに抜擢され華やかにデビュー。日本のピアニストの代名詞として、国内外3700回を越える演奏会を通じて聴衆を魅了している。広く若手ピアニス トの育成や紹介に努め、1996 年より浜松国際ピアノアカデミー音楽総監督を務めている。日本芸術院賞・恩賜賞、紫綬褒章を受章。2014年のシーズンにはデビュー55周年を迎えた。浜松市音楽文化顧問、浜松国際ピアノアカデミー 音楽総監督、学校法人北鎌倉女子 学園理事・評議員、社団法人日本クラシック音楽事業協会顧問、独立行政法人日本芸術文 化振興会評議員、世界科学館サミット2017組織委員を務めた。
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このたび、日本パデレフスキ協会が設立されるとの報告を受け、心からうれしく思うと共に、そのような決断がなされたことに敬意を表します。イグナツィ・ヤン・パデレフスキは、比類なき芸術的才能に恵まれた存在であったと同時に、ポーランド共和国の歴史を語る上でも欠くことのできない活動を行った重要な存在でもありました。パデレフスキは日本を訪れたこともなく、まだ日本の皆さんにとっては遠い存在なのかもしれません。しかし、日本パデレフスキ協会の活動が彼の作品とその人物のすばらしさを伝えてくれることを期待しています。この協会の益々の発展と活動の充実を願っています。
心からの敬意を込めて - Piotr Paleczny
日本パデレフスキ協会が設立されることはすばらしく、心からその活動をサポートしたいと思います。 パデレフスキという偉大な芸術家であり政治家である名前は、私たち演奏家に芸術的、教育的なインスピレーションを与えてくれます。パデレフスキの作品は演奏する度に、我々に大きな充実感をもたらし、観客の心に訴えるものであり、作品から彼の人間的な偉大さを感じることができます。この協会の益々の発展とすばらしい活動を願っています。
心から - Andrzej Jasiński
ピアニスト・作曲家であり、ポーランドの首相も務めたイグナツィ・ヤン・パデレフスキを記念して行われる音楽コンクール。
予選は、ウイーン、ブレシア、ワルシャワ、モスクワ、ニューヨーク、ロンドン、北京、ソウル、東京の世界9都市で開催されます。
「プログラムの選曲は音楽表現の一端である」という考え方から、全審査を通じて要求されるのは基本的に自由曲のみ、
自分自身を存分に表現するレパートリーを組むことができます。
コンクールやコンサートの模様は全世界にネット配信され、リアルタイムで鑑賞することができます。
日本パデレフスキ協会は、パデレフスキに関心のある方でしたらどなたでもご入会いただけます。
日本パデレフスキ協会は、20世紀ポーランドを代表する音楽家であり、政治家でもあったイグナツィ・ヤン・パデレフスキの芸術を探求し、広く世に紹介し、それによって日本の芸術文化の振興に貢献すること、また日本とポーランドの文化交流に貢献することを目的として設立されました。
・例会:テーマ別に専門家を講師に招き、例会を開催。その他、来日中の著名な演奏家・講師による講演会、レクチャーコンサート、シンポジウムなどを開催。
・交流:SNS を通しての会員相互の意見交換、情報の提供。多彩な執筆陣によるメールマガジンの発行など。
・若手芸術家の支援:ポーランドのパデレフスキ協会と姉妹提携を結び活動するほか、日 本とポーランドの若手芸術家の支援を積極的に実施。
・法人会員:本協会の趣旨に賛同し、所定の会費を納める法人
・個人会員:本協会の趣旨に賛同し、所定の会費を納める個人
・法人会員 一口¥50,000
・個人会員 一口¥5,000
振込先 ゆうちょ銀行 日本パデレフスキ協会
記号10150 番号91381981 店番018 普通預金 口座番号9138198
・協会主催例会・講演会・コンサート等へのご招待
・著名アーティスト、執筆陣による年4回のメールマガジン、各種情報の提供
・関連コンサートの優待割引
以下のフォームにご入力いただくか、事務局へ直接お問い合わせください。
なお、年度の途中から入会なさった場合でも年会費は全額いただきます。
その他のお問い合わせ、取材依頼等については下記よりお問い合わせください。
音楽の友 2016年5月号「ニュース」
月刊ショパン 2016年5月号「特集1 ポーランドの英雄 没後75年 パデレフスキ」
モーストリー・クラシック 2016年5月号「東西南北」